ミュージアム部門 コレクション 石崎幸雄
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世界の酒コレクション4 日本の酒 その1
自宅にストックの有る世界の主だった酒をご紹介してきましたが残るは日本の酒です。年間360日嗜んでいる酒類がほぼ日本酒ですのでまずは日本酒の一部をご紹介します。古酒(クース)や芋焼酎も大好きですが家呑みすることは少なく次の機会にご紹介します。
地球上で最初の酒がいつ、どこで造られたか定かではありませんが、最初は糖分を含んだ果実の樹液に野生の微生物が繁殖し発酵をしたもので葡萄酒であろうといわれていて、紀元前4000~5000年前の神話に登場しているようです。次はビールで紀元前3000~4000年頃に原型が出来たようです。
日本では紀元前300~200年頃の水稲の渡来から米麹利用による米の酒造りが始まって、400年頃には「播磨国風土記」に「清酒(すみさけ)」の記事がありました。 現在の酒造法とほぼ同様の醸造技術が確立したのは江戸時代中期といわれています。 文化の大半が中国から入る時代から、独自に発展させてきた日本酒文化を大事にしたいと思います。
日本酒は米を糖化しそれを発酵させることでアルコールを生成します。それを同時に行う並行複発酵という世界に類のない発酵形式で醸造されます。ワインは単発酵、ビールは単行複発酵になります。
酒類は醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類に3分類され、醸造酒類の中で澱粉系にビール・老酒・日本酒があり、糖類系にワイン・シードル・蜂蜜酒があります。酒税法ではアルコール分1度以上の飲料をいうと定義されています。合成清酒や味醂は混成酒類に分類されます。清酒であっても外国産米を使ったものや海外で造られたものは日本酒と呼称できません。
日本酒は「特定名称酒」と「普通酒」に分類されます。「特定名称酒」は原料により3種に分類され、製造方法や精米歩合等により8種に分類されます。
1.純米大吟醸酒(使用原料;米・米麹・水)(精米歩合;50%以下)(香味等の要件;吟醸造り・固有の香味・色沢が特に良好)2.純米吟醸酒(米・米麹・水)(60%以下)(吟醸造り・固有の香味・色沢が良好)3.特別純米酒(米・米麹・水)(60%以下/または特別な製造方法)(香味・色沢が特に良好)4.純米酒(米・米麹・水)(70%以下)(香味・色沢が良好) ※色沢(しきたく)とは、酒の色と透明度を指します。 
5.大吟醸酒(使用原料;米・米麹・醸造用アルコール・水)(精米歩合;50%以下)(香味等の要件;吟醸造り・固有の香味・色沢が特に良好)6.吟醸酒(米・米麹・醸造用アルコール・水)(60%以下)(吟醸造り・固有の香味・色沢が良好)7.特別本醸造酒(米・米麹・醸造用アルコール・水)(60%以下/または特別な製造方法)(香味・色沢が特に良好)8.本醸造酒(米・米麹・醸造用アルコール・水)(70%以下)(香味・色沢が良好) ※色沢(しきたく)とは、酒の色と透明度を指します。
「普通酒」とは、「特定名称酒」以外の日本酒です。精米歩合70%以上の米や、「特定名称酒」に使われているもの以外の原料を用いたり、醸造用アルコール量が10%を超えるものなどがあります。風味の不足を補うため糖類を添加しているものもあります。
米について;酒造好適米だけでなく食米(酒米としてコシヒカリ等も登録)を使う場合もあります。酒造好適米は酒米とも呼ばれますが、代表的な品種は山田錦、雄町、五百万石、美山錦等で、農林水産省には現在、100を超える種類の酒米が登録されているそうです。酒米とは総じて酒造に使われる米の名称で、その中でも特に日本酒造りに適している米が酒造好適米と呼ばれます。栽培が途絶えていた幻といわれる品種を復活させたり改良したりと品種は増えているので今後が楽しみです。
醸造用アルコールとは;醸造アルコールは、主には廃糖蜜(砂糖を精製する時に発生する、糖分以外の成分も含んだ粘状で黒褐色の液体)や、トウモロコシ、サトウキビ、サツマイモなどを原料とし、この原料を発酵させて何度も連続で蒸留し、アルコール分95%程度まで濃縮させたもので無味無臭、原材料のサトウキビやサツマイモなどの味わいや香りはほとんどないクリアなアルコールです。使用する量は白米の重量の10%以下に制限されています。
精米歩合とは;白米の玄米に対する重量の割合をいいます。精米歩合60%という時は玄米の表層部を40%削り取り60%残った芯の部分を使います。ちなみに家庭で食べている米は精米歩合92%程度です。
水について;酒造用水(仕込み水)は日本酒成分中の80%程度を占めますし、使用する米の30~40倍を必要とするため非常に重要な原料です。
京都の伏見に代表される軟水(御香水)と兵庫の灘五郷に代表される硬水(宮水)が代表的なものです。
吟醸造りとは;醪の段階で、5~10℃ほどの低温で長期間ゆっくりと発酵させる華やかな香りと上品な味わいが特徴の醸造法です。
小鼓 表
小鼓 裏
兵庫県丹波市の西山酒造場の小鼓を4本並べました。 ラベルなし飲み比べ3本セットと純米大吟醸 にごり無濾過生原酒 青陽 (せいよう)です。右端は酒米の品種は不明ですが当然国産米で、精米歩合は麹米50%掛米70%と純米酒です。右から2本目は兵庫北錦20%、五百万石70%を使用し、精米歩合は麹米50%掛米58%と純米吟醸酒です。
左から2本目は但馬強力59%、兵庫北錦25%、山田錦14%を使用し、精米歩合は純米大吟醸酒なので50%です。
ラベル無しのお酒はコスパが良いのではという先入観で買い少し得をした気分にもなります。
左端は但馬強力100%を使用し、精米歩合は純米大吟醸酒なので50%です。原酒なのでアルコール分は17度と高めになっています。生なので要冷蔵ですがどんな酒でも冷蔵することはありません。常温での味の変化を味わうのも楽しいことです。ただ蓋が飛ばないよう慎重に時間を掛けて開栓します。全ての酒は常温とお燗で吞んでみますが、このにごり無濾過生も日向燗(30℃)或は人肌燗(35℃)で楽しめます。
普段は大吟醸を買うことが無くこんな贅沢はしないでのすが、どういう気の迷いか純米大吟醸を2本も購入してしまいました。
望天鷹孫ぐい呑み
この写真は2022年6月に撮った写真です。右側は栃木県大田原市の天鷹酒造の天鷹特別純米生原酒で酒米の品種は不明です。精米歩合は特別純米酒なので60%で、原酒なのでアルコール分は18度と高くしっかりとした造りになっています。左側は栃木県芳賀郡益子町の外池酒造店の望(ぼう)特別純米 美山錦 無濾過生原酒で美山錦を100%使用しています。
精米歩合は特別純米酒なので60%で、原酒でもアルコール分は16度とそんなに高くしていないのは食中酒を目指している造りだからでしょう。杜氏名も明記されています。栃木県の新しい杜氏集団である「下野杜氏」の認定者です。
 
この栃木の酒は益子在住の娘からの誕生日祝いの戴きものです。そしてその下にある“ぐい呑み”は孫が小学校4年生の時に制作し、プレゼントしてもらったもので日々大事に使っています。
下野杜氏とは;伝統の手造り技法で日本酒を醸すリーダーは「杜氏」と呼ばれ、「越後杜氏」「南部杜氏」などの杜氏集団が有名ですが、高齢化による後継者不足が叫ばれています。

伝統文化である日本酒の素晴らしさを末永く後世に伝えていきたいと、自主的に立ち上がった下野の国(栃木県)の地元の若い蔵人達が会社の枠を越え、酒造技術と栃木の地酒の品質向上に日々切磋琢磨していて、そのお披露目として東京で「新世代栃木の酒 下野杜氏新酒発表 2024 in 東京」のイベントを開催していて4月10日()に開催されました。
栃木県産業技術センターの課す厳しいカリキュラム・試験を経て新資格「下野杜氏」に認定され、認定者の証のエンジ色の半纏を目指していますので栃木県の各蔵元は安泰かなと思います。日本酒の未来にとっては大変ありがたいことだなと思っています。
イベントには2018年まで毎年参加していましたが諸事情でご無沙汰になっておりました。外食解禁になった今年は是非と思っておりましたが参加できませんでした。下野杜氏のイベントだけでなく色々なイベントへの参加を目指します。


説明文ばかりで読みにくく申し訳ありません。ご興味のある方は読み飛ばしながらお目通しください。

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2024.4.9 作成 長尾